家を新築する

結婚した年の冬から新しい家造りが始まっただよぅ。
畑を整地して家を建てられるようにしたり、木材は前に日向にあった古い家を解体して持ってきただよう。みんな自分たちでやるだから大変だったよう。万次郎さんも手伝ってくれたけどなぁ。
足りない木材は山へ行って切り出して きただにぃ。急な傾斜の山から木を切って運び出すだからそりゃぁ滑って危なかっただよぅ。命がけだになぁ。
昔はトラックなんてなくて、家に馬がいて父ちゃんが馬に乗って切った木材を全部山から運び出して製材所に持って行って板にしてもらっただよ。
あの馬は本当に役に立ってくれたなぁ。優しい馬で父ちゃんはとても可愛がっていただょ。
馬を手放すとき父ちゃん泣いてたわぃ。私だって涙が出たよぅ。何でも武石の方に売られていったとかで父ちゃん馬に会いに行ったよ。父ちゃんは生き物が好きで何でも大事にしただよ。
私はあんまり好きじゃないけどな。

家の基礎を作って柱を立てたり屋根を作ったりするところは大工さんに手伝ってもらったんだけど、壁塗りは全部父ちゃんとやっただにぃ。藁と土を混ぜて壁を塗るんだから力仕事だよう。