その年のことは
家のおばあさんが年をとってからよく「よくその年のことはその年のことはにならねぇと分らねぇ」と言っていたけどあれは本当にだになぁ。
体も思うように動かなくなるだし、病気もあるし、いろいろ忘れちゃうしなぁ。
おばあさんは最後までしっかりしていたでぇ。
私も、この年まで生きるとは思わなかったよ。おばあさんの年を越えちゃったけどなぁ。本当に!
おばあさんは、具合が悪くなって2ヶ月くらい寝ついていて私が看病していただけど、毎日お医者に往診してもらって、亡くなる前の日の夕飯もちゃんと食べて、その明け方様子を見に行ったら布団の中で亡くなっていただよぅ。
自分の家の布団の中で死ねるなんて、その当時だってそんな人は居なかったからから「う志じさんは、運者だにぃ」って村の人みんな言ってたわぃ。