きぬちゃんは木登りが得意

昔はクルミを広い畑でたくさん作っていただよ。木は高くて上の方にたくさん実がなっているから、登って長い竿で叩き落としただよ。
兄も弟も高いところが苦手だったから 全部 私が一人で登ってやっただにぃ。
兄さんたちは下で実を拾い集めていただよ。
私が嫁に来てからは、父さんが木に登って取っていたけど、木から落ちて腰を打ってからクルミはやめただにぃ。

私は、お転婆だからどんな高いところでも平気だよ。
家に高い杏の木があってさぁそのテッペンまで登れるのは私だけ。登ると村中が見えて気持ち良かったなぁ。美味しい杏もたくさん食べられたし。

昔、うしじさんが、「絹子は、子供の頃木登りばかりしていて機織りなんかしなかったわい」と話ていた。
昔は自分の着物は自分で機織りをして作ったそうですから、絹ちゃんは美しく着飾ることよりも木登りが好きだったようですね。